日々の疲れを自然の中のバーベキューでリフレッシュするのっていいですよね。自然に囲まれながら楽しく過ごし、まったりするだけでもいい気分転換になりますよね。しかしそんな気持ちとは関係なく、屋内外問わず不測の事態はおこるもの。特に屋外では相手が自然なだけにどれだけ用心しても不測の事態は起きます。それがケガや事故にもつながります。
そこで今回のテーマはBBQ中に起こってしまった事故によるケガの応急処置についてです。いざという時に知っているのといないのでは雲泥の差です。家族・友人・知人を助けるのはあなたかもしれません。
1.すり傷・切り傷
屋外で一番多いケガといえばすり傷や切り傷だと思います。みなさんも一度は経験されているはず。軽度なケガであるが故、あまり気にせずにやり過ごすこともあるかと思います。ワイルドではありますが、スマートではありません。多くの方は傷口を洗って消毒し、ガーゼを貼るという処置をしていると思います。一般常識のような応急処置の知識ですが実は現在では医学的には推奨されていません。医学は日々進歩しているので、5年前のエビデンス(医学的根拠)は通用しないという事もあります。
①消毒薬を使わない
まず、一つ目に消毒するという点が変わっています。今までは消毒することで細菌を殺し、化膿することを防いでいました。しかし、消毒薬は傷を治そうとする皮膚の細胞に害があること、傷口の細菌は消毒薬では完全になくせないこと、消毒薬は傷の治りを遅くすることが分かってきたため現在では使用しなくなってきました。
②ガーゼを使わない
すり傷などのケガをするとガーゼを貼るのは当たり前でした。そもそもガーゼを貼るのは傷口からでる血液や体液を吸い取る為です。しかし、血液や体液は乾燥し固まりガーゼとくっついてしまい、貼りかえる時などにかさぶたごととってしまい再び出血することもあります。傷が治るには傷口の細胞が増え傷をふさぐ必要があります。皮膚の細胞は乾くと死んでしまいます。そのため、かさぶたの下で細胞が傷口を治すのですが、このかさぶたとガーゼがくっついていて剥がすときにかさぶたが取れてしまうことで傷の治りが遅くなってしまいます。
・現在の処置方法
現在では傷を乾燥させない湿潤状態(湿っている状態)をつくって傷を覆うことで細胞が増えるようにする製品が増えてきています。”キズパワーパッド”などがこれにあたります。アウトドアなどでメディカルバックなどを持っていくときにはキズパワーパッドにすることをオススメします。また、BBQやキャンプでは”ラップ”を持っていくことがあると思います。傷口が大きいときは、ラップを傷口に貼りその上からガーゼを当てるラップ療法などが有効です。
2.打撲・捻挫
休日を家族や友人と楽しむためにアウトドアという方もいますよね。BBQやキャンプの空き時間にスポーツをしたりすることもあるかと思います。そんな時に打撲や捻挫は起こりやすいです。特に普段運動をしていない人は注意が必要になってきます。足場の悪いところなどではできるだけ注意して行動してください。
打撲はどれだけ自分が気を付けていても他の人が投げたボールが当たったという事もありえます。人が近くにいる環境ではお互いに注意しましょう。
①打撲
通称「うちみ」と呼ばれています。軽度のものから重度のものまであります。運動時にどこかに体をぶつけたり、何かがぶつかった際になります。打撲の怖いところは軽度だと思っていたものが当たり場所が悪いと時間差で重症化する可能性があることです。特に頭や胸部から腹部にかけては自己判断は避けて病院へ行くことをオススメします。
・打撲の応急処置法
手足などの打撲の場合は氷や冷水で冷やしましょう。冷水で濡らし布をあてたり、BBQをしている時であれば冷えたドリンクでもいいので患部を冷やしてください。時間の経過とともに痛みや腫れが増すようであれば病院で診察を受けて下さい。
・頭部の場合
意識がはっきりしているか、吐き気はないかを確認し、どちらかでも症状が出ている場合は病院へ行きましょう。
・胸部から腹部にかけての場合
内臓を損傷している可能性もありますので痛みがひどければ我慢せずに病院へ行きましょう。
②捻挫
捻挫とは関節付近をくじいたときにおこるケガです。多いのは手首や足首で、特に足首を捻挫したことがある方は多いと思います。捻挫も軽度から重度なものまであり、捻挫の診断は3つに分かれており、1度の捻挫はじん帯が伸びた状態。2度はじん帯の一部が切れた状態。3度の捻挫はじん帯が切れた状態です。捻挫は軽度のものであれば数週間で治りますが、適切な処置を行わないで負荷をかけていると癖になることもあるので注意が必要です。
・捻挫の応急処置
捻挫ではR.I.C.E処置というものがあり、Rest→安静、Icing→冷却、Compresstion→圧迫、Elevation→高挙、の頭文字をとった応急処置方法が推奨されています。まずはなるべく動かずに安静にして患部に負荷をかけないようにしてください(Rest)。次に打撲と同様に氷や冷水で患部を冷やしてください(Icing)。その後、包帯やテープなどで圧迫します(Compresstion)。最後に患部を心臓よりも高いく挙げて安静にします(Elevation)。
RICE処置を行ってしばらくしても痛みがひどく歩行困難な状態の時は病院へ行ってください。
3.骨折
BBQやキャンプでは楽しくなってはしゃいだり、登山などでは不慮の事故で。意外と骨折ってなりやすいです。登山はわかるけどBBQやキャンプではならないでしょ。と思われるかもしれませんが、はしゃいでいたり、お酒が入ると判断が鈍り普段ならしないようなことをしてしまいますし、岩場で転倒して骨折することも充分にあります。骨折は骨が折れると書きますが、実は骨が折れていなくても骨折と診断されます。正確な骨折の診断は”骨が壊れる”ことを指します。なので、ヒビがはいっている状態も骨折に入ります。骨折すると、患部が腫れるので一見してわかることもありますが、捻挫の項で説明した3度の捻挫と区別がつけづらいこともあります。骨折の疑いがあればすぐに病院に行きましょう。
・骨折の応急処置
まずは患部から出血などがないか確認します。出血などの外傷があれば先に手当てを行います。軽度(腫れがひどくなくヒビなどだと予想される)であれば患部を冷やし、心臓よりも高い位置に固定します。重度(腫れがひどい、変形しているなど)の場合はとにかく副木に使えそうなもの(傘、雑誌、定規、枝、テントのポール、釣り竿、BBQのトングやコンロの足など)で骨折部の上下の関節を含めて副木で固定する。この時、包帯は副木が動かない程度にきつすぎず、ゆるすぎず巻くことが重要。腕の骨折の場合は三角巾や布を使って吊るします。骨折部によっては処置が難しいこともありますので、アウトドア中の時はすぐに救急車を呼びましょう。軽度であり、自分たちで病院に行けると判断した場合は応急処置を行ったあとに病院に向ってください。
4.火傷(ヤケド)
アウトドアではしばしば調理を行いますよね。特にBBQやキャンプでは必ず火を使います。そうすると必然的に火傷のリスクが上がります。まずは火傷について簡単に説明します。
皮膚は表皮、真皮、皮下細胞の三層にに分けられます。火傷はそれぞれどの層までダメージが到達したかで状態を判断し、表皮(表面)の火傷はⅠ度熱傷。真皮まで到達しているとⅡ度熱傷。皮下組織まで到達しているとⅢ度熱傷となります。
・Ⅰ度熱傷
基本的に軽度の火傷。一瞬、高熱の物に触れたなどでおこりやすく、皮膚の外見は赤くなり、ひりひりと痛みがあります。
・Ⅱ度熱傷
皮膚に水ぶくれができたりします。強く焼けるような痛みを伴います。
・Ⅲ度熱傷
皮膚が蒼白、炭化による黒ずみなどが見られます。このレベルの火傷をおうと痛みはあまり感じなくなるそうです。
・火傷の応急処置
基本的にどの火傷もすぐに流水で患部を冷やします。この時、流水の刺激が強いようであれば、直接水圧が当たらないように水を入れることができる容器に水を溜めて患部をつけましょう。冷やす時間の目安は20~30分。ズキズキと痛むのがやわらぐのを目安にしましょう。広範囲の火傷をおった際は全身を冷却し続けると体温が低下しすぎてしまう危険性があるので10分以上は冷やさないようにしてください。
充分に冷やしたらガーゼで優しく包みます。広範囲の火傷の場合はシーツなどで覆いましょう。このとき、水ぶくれなどができても触らないようにしてください。Ⅰ度の火傷は病院に行かれない方が多いかと思いますが、Ⅱ度以上の火傷は必ず病院で診察を受けて下さい。
5.出血
1番で説明したすり傷・切り傷よりも多く出血した場合の応急処置を説明します。まず、人間の体内には体重の約78パーセントの血液が流れています。この血液の20パーセントが急速に失われると出血性ショックをおこし、重篤な状態になります。30パーセントを超えると生命に危険を及ぼします。こうならないためにまずは止血をしなければなりません。あくまで応急処置ですので、出血量が多い場合はすぐさま救急車を呼びましょう。到着までの間に出血を防ぐことが一番重要です。
①直接圧迫止血
出血している傷口をガーゼやハンカチなどの布製のもので直接圧迫することで出血を防ぎます。このとき、ビニール袋などを使うと血液感染を防止できます。また、手足であれば心臓よりも高い位置に傷口をもっていくことで止血しやすくなります。
②関節圧迫止血
傷口よりも心臓に近い動脈を手や指で圧迫して血液の流れを止めて止血する方法です。この方法は直接圧迫止血法ができないとき、準備に時間がかかるときに行うもので、基本的には直接圧迫止血法を行います。
③止血帯法
手や足の出血で直接圧迫止血法では止血が困難な時に行う方法です。傷口より心臓に近い位置に包帯やネクタイ、タオルなどを巻いて棒を挟み、回して締め付けます。出血が止まればそれ以上はきつく締めないでください。
以上が主な止血法です。
また、出血は大きく分けて動脈性出血、静脈性出血、毛細血管性出血の3種類があります。毛細血管性出血ははすり傷などのさいの出血です。
静脈出血は血の色がやや暗く、持続的にジワジワと出血しますので速やかに止血してください。
一番気をつけなければいけないのが動脈性出血です。血の色は鮮やかで、勢いよく出血します。そのため、すぐさま止血しなければ出血性ショックにおちいる可能性が高くなります。
6.心肺停止
アウトドア中に心肺停止は起こらないだろうと思ってはいけません。特に川や海、湖などの水場が近くにある場所でのBBQやキャンプ、釣りをされる方は注意が必要です。足を滑らせて水面に落下し気を失うことやパニックになってしまい溺れてしまうことなどもあります。そういったときにすぐさま発見し救助できれば問題はありませんが発見が遅れると心肺停止状態におちいっていることもあります。学校や自動車免許の取得時など必ず一度は講習を受けたことはあるかと思いますがどこまで正しく心肺蘇生の知識があるかご確認下さい。
①意識の確認・呼吸・脈の確認
呼吸はしているか、脈はあるかの確認。同時に声をかけながら肩をたたきながら意識があるかの確認を行います。周囲に人がいれば助けを必ず読んでください。同時に救急車への連絡やAEDを探しに行ってもらいましょう。
②心臓マッサージ・人工呼吸
心肺停止状態になっていたならば一刻も早く処置を行います。(※普通の呼吸でない場合も心停止と考えて下さい。しゃくりあげるように途切れ途切れの呼吸など)胸骨圧迫を30回。人工呼吸を2回。これをワンセットとして繰り返し行ってください。
③AED
AEDが近くにあり、処置中に届いた場合はすぐさまAEDをセットします。音声ガイダンスに従い操作を行います。電気ショック後は直ちに胸骨圧迫からの心肺蘇生を再開してください。
心臓マッサージは強く、早く、絶え間なく行うことが重要です。とにかく間をあけないようにテンポよく行ってください。人工呼吸は傷病者の鼻をつまみ空気が漏れないようにし、顎を持ち上げて気道を確保しますます。その後1回1秒かけて息を吹き込む動作を2回続けます。
まとめ
いかがでしたか。休日をアウトドアで楽しく過ごしたかったのに誰かがケガをして大変だった。という事がないのが一番ですが、どれだけ気を付けていても事故やけがは起きてしまいます。そんな時に応急処置の知識を持っているのと事態が大きく変わってきます。最悪の事態を防ぎ、のちのちは笑い話ですむように最低限の応急処置の知識は身に着けておいた方がいいです。
こうした知識はバーベキューの最中だけでなく、日常生活や天災時にも非常に役立ちます。もし、興味があれば救急の講習などもありますので参加してみてください。
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